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富野由悠季の監督術 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア (ニュータイプ100%コレクション)』浅野秀二

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』

CGが作品のなかで使われたのはスウィートウォーターの遠景のみですが、世界観を表現するオブジェクトとして大変効果的に使われています。ここにも監督の意向がありました。

「いままでCGをアニメの世界で使う場合は、CGの特性であるワイヤーフレームから三次元的な立体映像を重視し、強調した使い方がほとんどでした」
「ところが、監督と打ち合わせして驚いたのは、この作品にCGを入れるにあたっての注文が、CGらしくないものをお願いしたいということだったのです。意外なお話だったので、よく伺ってみると、CGは本来、時間もかかるし、ある程度の予算も必要になる。また、手描きのアニメーションの味が出せるほど現在のCGが発達しているわけでもないし、一度にできる量にも限りがある。そこで、そのCGの使い方を非常にしぼって、とにかく効果的に使おうというのが監督のお考えだったようです」
「つまり、分量的に少ないCG部分をいかにもCGといった感じで仕上げると、他のアニメーション部分との違和感が大きく出てしまうでしょう?そこで、できるだけアニメの世界にCGを合わせて欲しいということが大前提だったというわけです」
「では、なぜCGを使うのか、ということなのですけれど、巨大なスペースコロニーを表現するところに可能性があるからなのです。あれだけ巨大でありながら、非常に細かいディテールをもっていて、しかもそれを斜めに移動させたり回転させたりして、なおかつ迫力を出さなければならない。これは手描きでは追いつかないといった部分もあるらしく、その辺のところをCGでカバーできれば……ということだったのです」


アニメで初めてCGを用いた作品は1983年公開の『ゴルゴ13』の劇場版だといわれています。ただ、CG導入黎明期において作られたCG部分は異質な印象を受ける出来になってしまい、後にオーディオコメンタリーで出崎監督自ら宣伝と割り切っていたことを述懐しています。
それから5年後の本作。技術の進歩はあれど、やはり手描きアニメとの表現のギャップはいかんともしがたく、限定的な使用法に徹したということですが、逆説的にアニメ制作への見解を述べているところが注目ですね。
富野監督は常々単にクオリティだけを求める姿勢には距離を置き、コストパフォーマンスを重視する発言をインタビューなどで行っています。それは劇場作品である本作でも同様で、予算を圧迫してまでの導入には懐疑的です。量や時間という実務的な障壁から逆算していることからもそれが言えるでしょう。
しかし、その使用法は出色です。外観はコントラストを強くして巨大感を出し、背景美術のテクスチャを張ったコロニー内壁の居住区は全体を明るくすることで視聴者の視線をそちらに誘導してCGらしさを目立たせないようにしています。使われるシーンにしてもあくまでコロニーが舞台の一部ということもありますが、ランチの入港やシャアの演説冒頭など人間ドラマに深く直結しない箇所になっていたことも見逃せません。「手描きのアニメーションの味」に対して雑味とならないサポートのポジションに徹した使い方といえます。
イノベーションに積極的なイメージのある富野監督ですが、ことCGに関しては「半歩遅れる」といった印象があります。これはやはり逆算による画作りを前提とした監督流のクオリティコントロールといえるのではないでしょうか。

:※追記
Twitter等で精力的に富野、ガンダム情報を収集されているミスルトゥの中での管理人様よりご教授をいただきまして、本作の演出補佐の高松信司氏による制作秘話の一連のツイートをまとめた記事がありますのでご紹介させていただきたいと思います。

逆襲のシャアの地球儀が発見される!

リンクを快諾いただいたことも含めて感謝いたします。

あと、公開直前の特別番組で、CGの件に触れた箇所があったことをTwitterで教えていただきました。ご指摘ありがとうございます。リミテッドアニメに関する発言もありますので、興味のある方は是非。

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 特番02
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