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富野由悠季の監督術 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア (ニュータイプ100%コレクション)』池田繁美<美術>

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』

『戦闘メカ ザブングル』以降数々の富野作品に参加してこられた池田氏。もしかするとアニメ業界の中で最も富野監督とお仕事をされた方ではないでしょうか。

「画面自体はそんなに暗くしないでほしい、という要望が、まず監督のほうからありました。どうも監督のイメージのなかに、メカものというと宇宙空間が舞台になるので、何でもかんでも暗色バック!という流行があるように感じられていたようなんです」
「そこで、とにかく真っ黒な画面だけにはしたくないという監督の意向に沿って、今回の劇場版の作業にとりかかったわけです。しかし、出来としては完全にその試みが成功したとは言い切れない部分もあるんです」
「暗くしない!という考え方は通っているんですが、反面、軽くなってしまったのでは?というところが危惧している点なんです」
「具体的にいえば、単純な話、部屋が明るいと重厚な感じがしませんよね?監督のほうから、もうひとつ、今回の作品では重厚な感じがほしいといわれていたんです。となると、明るくて重厚な二律背反的な美術に挑戦しなければならないわけで、それが苦労した点ですね」


スタッフの刷新が当然のように行われる富野監督のスタッフワークにおいて数少ない「富野組」と呼べるほどのキャリアを持つ方ですが、決してルーティンを許されるわけではなく常に挑戦的な姿勢を要求されることがわかる証言です。
トレンドに背を向けることで作品の特殊化を試みることはままあることですが、背景美術に出される指示としてはやや異例な印象を受けます。キャラクターやメカ等のデザインと違い一見して差別化が難しい背景美術の流行も作品を時代に埋もれさせない為の戦略の一環として見ているということでしょう。しかし、作品が上映された88年はすでにロボットアニメブームは終焉を迎えていたため比較となる作品はあまり多く無く、差別化のためのこの指示が功を奏したか否かは断言しにくい所ですね。
背景美術は実写での照明効果もつかさどるセクションになるため演出プランを前提とした打ち合わせは当然にあるわけですが、池田氏も言われているとおり「明るさ」と「重厚」を兼ね備えるというアプローチは難題だったと思います。池田氏は懐疑的に振り返っていますが、主に船内の壁面をメタリックな白色ではなく落ち着いた青色を基調とすることで課題をクリアされたように見受けられます。
もうひとつコメントから読み取れるのは、基本となる二つの指示以外の具体的な技術論は池田氏に一任されていたことでしょうか。これは共作の多さからくるコンビネーションと言えるでしょう。たとえ一方向の抽象性の高い指示でも、それを理解するだけの力が池田氏に備わっていることへの信頼がうかがえます。
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