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富野由悠季の監督術 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア (ニュータイプ100%コレクション)』庵野秀明

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』

後に『新世紀エヴァンゲリオン』で時代の寵児となる庵野氏。富野監督とのコラボレーションに心躍るアニメファンは少なくないでしょう。氏のデザイナーとしての一面を知るうえでも貴重なコメントになります。

「分担というか、基本パートとしてはネオ・ジオンサイドをぼくが、連邦サイドをアシスタントの増尾君が担当しました。メーンは戦艦関係ですね。ちょっと見た感じでは、2人とも全然ラインが違うようですが、その辺も監督の意向だったようです」
「監督から注文がいろいろあったことは覚えていますね。たとえば、人との対比を重視すること、どこに何があるのかわかりやすく示す、と言ったことですね」
「宇宙船でいいますと、砲塔やミサイルの発射部、モビルスーツの収納部などの戦闘に関連したベースと、エンジンブロック、居住区と言った作品のなかで代表的な役割をもつ基本的な3つのブロックの位置を、できるだけ離すことにより、子供の目から見ても、そのメカの部分部分がはっきり区別がつくようになりますね」
「また、そこに人が住んでいるんだということをいつも念頭においてデザインする、ということもいわれました」


日本のアニメがデザイナーを複数人で担当させることにより世界観に多様性を持たせることはいまでは当たり前に行われています。先行例はいくつもあるでしょう。宮武一貴氏と河森正治氏が参加した『超時空要塞マクロス』などが想起されるところでしょうか。富野監督を先駆者として位置付けるのは難しいですが複数人体制を定着させた一人として見ることはできると思います。
「どこに何があるか」という指示は小道具との対比で考えると面白いですね。(※富野由悠季の監督術 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア (ニュータイプ100%コレクション)』佐山義則<メカニカルデザイン>)人間ドラマに直接かかわるデザインは実用性から、アクションシーンの要となる戦艦、MS等はフォルムからのアプローチを指示しているのがわかります。
しかし、フォルムとは別に「人との対比を重視」「人が住んでいることを念頭におく」という指示もあることは重要です。これは分担作業が基本のアニメーションにおいて共通認識を持たせる実務的な側面と同時に、作品世界において随所に人間の息遣いを喚起させたりアクションシーンにおいてもドラマが断続していく自身の作劇をデザイン面からも補足する演出意図からくるものではないでしょうか。広々としたモビルスーツデッキでのフィンファンネル起動テストで驚くメカマンのコミカルさからアストナージ絶命の冷酷なシーンにいたるまで、ロングショットにドラマを持ち込む特有の画作りにうまく機能したと私には映ります。
さて、重責を果たした庵野氏はその後自身の監督作品で幾度か宇宙戦艦を出すわけですが、この時の指示は活かされているのでしょうか。メカに疎い私には明言はできませんが、エクセリヲンやΝ-ノーチラス号にどことなくレウルーラやネオ・ジオン軽巡用クラス戦艦(=ムサカ)の影を見てしまいます。富野指示が下の世代の方々の仕事に影響を与えたと夢想するのは一ファンの密かな楽しみでもあるのです。
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