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富野由悠季の監督術『ターンエーガンダム (Vol.2) ニュータイプ100%コレクション 』

『∀ガンダム』
続刊のVol.2にて、再び「スタッフの視点から」よりの抜粋です。監督の指示だけではなく、スタッフの提案箇所も監督の仕事を判別するために引用したいと思います。

第28話 託されたもの
あと、胸に核弾頭を入れた後、片足で体を揺する∀の演技は、富野監督がずっとプールでトレーニングしているところからの発想だそうです。
肝心の核弾頭ですけど、前回お話したように、富野監督としてどうしても核は入れたかったらしいんですよ。ただ、スタッフとしては最初、ものすごくアレルギーを持っていたんです。核という言葉自体も夕方のテレビ番組で出していいものかどうか心配もありましたし。ただ、局側のプロデューサーも一般常識の範囲で作ってくれればいいと言ってもらえましたし、富野監督が断固として核とか放射能、という単語は盛り込みたかった。核をアレルギーとして禁忌するということ自体に危機感をを持っていたんですね。


第31話 追撃!泣き虫ポゥ
あの∀のジャンプはコンテマンが回してくれたんですよ。小原正和くんだったかなあ。
富野さんがコンテを直してるから、富野さんのアイデアかと思われがちなんですが、監督は通しただけです。このアクションは使えるからそのまま、と。絵コンテとタッチが違うから、どの部分が誰の仕事かは、わかるんですよ。


第32話 神話の王
アデスカ編がの2話がここまでネイティブな感じになったの理由ですが、これはほとんど脚本の太田さんの仕業です。
とりあえず場所が南米マニューピチということは決まってたんですが、太田さんに振ったところで彼女が色々とアイデアを出してきてくれたんですよ。資料も調べてくるし、アデスカやクワウトル名前は全部彼女が出してきたものです。
最初の監督のオーダーでも世界樹と金枝篇でやろうという話ではあったんですが、ここまでの物ではなかったんです。古い王を倒したものが新しい王になるというエピソードを入れようというだけでした。
富野さんの場合、コンテで脚本にないオーダーが山のように出るので、コンテが出ないと何も始められないっていうところがあるんですよ。で、コンテが出てから大騒ぎになる。


第36話 ミリシャの宇宙決戦
殆ど「宇宙初体験の人が宇宙に出るとどうなるのか?」で行こうという話ですね。

この話、監督にプロット提出したら「やるのか?お前ら、本気なの?」とか言われましたよ。


第37話 月世界の門
ディアナの先祖が植物を云々したために王になっているという設定は、この段階で文芸の高橋さんが勝手に入れたんです。元は金枝篇の話を読んでて、そのままではもったいないんでネタを足してああなったと。


第41話 戦いの決断
また、この辺からいわゆる『富野語』が増えてきていますね。「DNAが~」とか。舞台が宇宙に変わったからでしょうか。富野さんは二十年やってきているから独壇場ですね。39話以降の話は富野さんが出してきた構成に従ってやってるんです。町から出るにもエアロックのある世界ですから、町の構造とか距離感を把握するのが大変でした。


28話の∀の演技は身体性への関心が生んだ好例ですね。核弾頭という禁忌の兵器を扱っていながら人間臭い動作をする巨大ロボット。重いテーマをただ丁重に扱うのではなく、ユーモアを含んだ遊びのある仕上がりになっているのも本作の魅力の一つです。
後半になってスタッフの方が作品の世界観を把握してきたためでしょうか、いかにも富野監督の指示と思えるような描写がスタッフ提案で出てきていますね。∀とカプルのコンビネーション攻撃などはトリッキーなアクションを好む監督のスタイルに合っていますし、ミリシャの宇宙でのひと悶着などは群像劇に広がりを出す余談として味わいがありました。
シナリオ制作体制についてですが、新作の『Gのレコンギスタ』や劇場版ガンダム、あるいはOVAのバイストンウェルものなどは監督の単独脚本。過去のTVシリーズの仕事などは『イデオン』のライナーノートに代表されるようにアップダウン方式を採られていたと思われます。そういう意味では『ブレンパワード』『∀ガンダム』『キングゲイナー』の3作品はボトムアップ方式を強く意識した時期の作品群としてフィルモグラフィ―の中では異色の存在になるかもしれません。
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