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富野由悠季の監督術 『機動戦士Vガンダム〈VOL.1〉¨USO’S BATTLE (ニュータイプ100%コレクション)』逢坂浩司

『機動戦士Vガンダム』

逢坂氏は監督の指名ではなくコンペを経て参加されたこともあり、監督のもつイメージに近づけるために大変苦労をされたようです。
※逢坂氏以外には結城信輝氏と川元利浩氏が参加が確認されています。こちらのブログでまとめられておりますので、まことに勝手ながら紹介させていただきたいと思います。>天野"kevin"達也の亡命予定地(仮)

――企画時に監督から寄せられた指示は、どのようなものでしたか?
「とにかくシンプルなキャラクターにしてほしい、ということが第一でした。表現が難しいですが、これまでの”ガンダム”シリーズに登場してきたキャラクターは、どちらかというと最近のアニメに多く見られる、リアルっぽいようなデザインのものが多かったですよね。
今回は作品の雰囲気を変え、さらに作業時間の短縮をはかるために、それらの簡略化したようなキャラクターにしたい、ということでね」
――ウッソとシャクティの2人については何か?
「主人公とヒロインだけあって、あの2人のデザインは、最終的なOKを頂くまでに随分と時間を要しまし、それだけにかなり変化も遂げています。最初は、僕にとっては普通の絵――それなりに線が多く、皺まで線で強調してしまうような――で描いていたのですが、
前述のようにもっと簡略なものを、という指示があったので、余計な部分を減らして、最終的にみなさんがご覧になっているデザインになったわけです」
――彼らの色指定についても、その時点でメドはついていたのですか?
「いえ、実はまったく知らなくて、打ち合わせの席でシャクティの色を見せてもらったときは、いい意味で意表を突かれたように思いました。マーベットについても同様なのですが、あの色指定のお陰でグッと世界観が広がりましたからね」


前作『F91』は劇場作品としての制作ということもあって情報量の多いメカとキャラクターのデザインがなされたのですが、それが逆に制作体制の圧迫させる一因にもなったのではないでしょうか(※西村誠芳氏と平松禎史氏の少しだけ富野由悠季談義 )。苦い経験を得ての本作。情報量を抑制したうえで記号性と特徴づけを両立させている逢坂氏のデザインは要求水準を満たすには十分すぎる仕事といえます。
作品の雰囲気を変えることも狙いの一つとのことですが、おそらく世界観は「世界名作劇場シリーズ」あたりを想定していての発注だったのではないでしょうか。裏付けとしては弱いですが、このシリーズを意識していた監督自身の証言を挙げておきます。

富野「もっと平たく言うと『なんだ、僕も名作物ができるんだ』って、だからちゃんと映画の仕事もやってみたいなと本当に思うようになった。僕、演出家できるんじゃないって。思ったけど、違うかな」
編集「昔は我々が『富野さん名作物ができますよ』って言うと、怒ったんですよ。馬鹿なこと言うもんじゃないって激怒したのにどうしたんです」
『富野語録 富野由悠季インタビュー集』より


富野監督が憧れていた「世界名作劇場シリーズ」は旧東映動画系のスタッフによって端を発したこともあり、日本アニメの主流である魅力的な止め絵ではなく人の動き、それも日常での何気ないしぐさを丹念に積み重ねることでドラマに肉付けしていく作風を特徴としています。単純化された線と極力デフォルメを排したデザインは動きによる芝居を見せるうえで効果的に機能していました。
『Vガンダム』はエキセントリックなシーンばかりに眼を奪われがちですが、空中分解した感のある後期と違い、初期の数話を改めて観ると戦場という異常な状況で生活感のある人間ドラマが常に交錯する特殊な演出プランを試みていた作品なのが見て取れます。
構成は一見、「セカイ系」と呼ばれる後のトレンドと同じに見えますが、核になるのはあくまで、ものを食べたり睡眠をとったりする”生活”であり、学園生活やコンビニでの買い物といった現代的に限定された「セカイ系」のリアリティより広範な意味での日常描写を目指していることで一線を引けるのではないかと思います。
この演出はヒロインのシャクティによって使われることが多く、爆撃の最中でカルルマンにミルクを与えたり、洗濯をするシーンなどが丁寧に描かれています。視聴者に鮮烈な印象を残した狂乱しながら種を植えるシーンなども成果の一つといえるでしょうか。
色彩設定に関してはどこまで関わっているかは特定が難しいです。かつての作品において湖川友謙氏が請け負っていたとの証言もあり、実は富野監督の中では距離を持った作業工程なのかもしれません。シャクティの肌の色は出自に関わってくることもありイメージがあったといえますが、デザイナーに秘匿しておく理由がわかりません。あえて推測すると先入観を持たせてデザインの硬直化をさせないようにするためでしょうか。
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コメント

No title

いつもタメになる記事をありがとうございます。

>構成は一見、「セカイ系」と呼ばれる後のトレンドと同じに見えます
不勉強で恥ずかしいですが、これは一体どういう意味なのでしょうか。ぜひ教えてください。

No title

kaito2198さんコメントありがとうございます。単純に私の説明不足です。”日常”に戦場という”非日常”が侵入してくる「突発性」ですね。影響を与えた『エヴァンゲリオン』を絡めようか、どうしようか悩んでいたらこんな中途半端な書き方になっていました。未熟者ですみません。

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