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富野由悠季の監督術 『機動戦士ガンダムF91 (ニュータイプ100%コレクション)』富野由悠季

『機動戦士ガンダムF91』

前作『逆襲のシャア』でアムロとシャアの決着をつけたものの、新たなガンダムブランドを作るべく仕切り直しとして作られた本作。それまで作られてきたガンダムのイメージを一新すべく、敵のMSデザインのテコ入れをする決断をしています。

「今回のMSを大河原さんにお願いするにあたって、まず最初に決めたことがありました。それはザクのようなモノアイはやめよう、ということです」
話によると、今回の敵側MSは古代バビロニアの土偶を基にしたデザインでいこう、という富野監督のイメージを大河原氏が明確につかんでいたため、エビル・Sとデナン・ゾン、デナン・ゲーの3体については、ほとんど最初から決定稿に等しいものが上がってきていたようである(ベルガ・シリーズ等は、騎士的なイメージを持たせるために多少の紆余曲折がある)この中でも特にデナン・シリーズの2体については、富野監督もいたく気に入っているようで、「これはザクに続く、作品世界のイメージリーダーになる!」と語っているほどである。


最初のガンダムが成功したことの要因としてザクのイメージを挙げる人は少なくありません。確かに角を付け、トリコロールカラーに身を包んだいかにも主役機然としたガンダムに比べ、軍服を彷彿させる緑を基調としたカラーリングや量産機という扱いは、それまで怪獣の延長として描かれてきた敵ロボットの概念を覆す大変エポックなものでした。特に、モノアイの存在は傑出しており、ガンダム世界の魅力であるSF色とミリタリー色を同時に表現した優れものであるとともに、”見立て”としての魅力も兼ね備えている点も見逃せません。甲冑を着た「鎧武者」のガンダムが一つ目の「鬼」を退治するという低年齢層にもアプローチする力強さを持ったデザインといえます。
これほどまでに秀逸なモノアイをやめることを要求するのは、「今まで10年来たんだから、10年持つ物にしよう」という当時のサンライズ社長山浦氏の言葉に代表されるような製作サイドからの意向を汲んだものであると同時に、リスタートを切りたい監督の意気込みの表れでもあります。
デナン・シリーズは土偶をイメージのベースにしたとのことですが、作中で使われる「コスモバビロン」の語源であるバビロニアの世界観を表現する意味もありますが、未来の舞台ににあえて異文明の要素を持ち込むことでリアリズムの窮屈さからの解放感を与えてくれています。”見立て”としても、海賊のイメージの「骸骨」とミリタリズムっぽさの「ガスマスク」をうまく融合したユニークな仕上がりです。
「リアルロボット」などと俗称されることのあるガンダムですが、ことデザインに関してはむしろリアリズムと意外性の均衡にこそ妙味があるのではないでしょうか。
敵MSのメインカメラを変更することはその後のガンダムシリーズでも行われ、作品ごとの独自の世界観を表現するうえで効果的に機能しています。富野作品でいえば『Vガンダム』のザンスカールMSの猫の目が印象的ですし、非富野ガンダムでも『ガンダムW』のスクエア型や『ガンダムOO』のようにギミックや複眼まで登場する多様な展開を見せています。
最新作の『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のグレイズなどはギミックからモノアイまで取り込もうとした欲張りなデザインになっているのが面白いですね。
『F91』は商業的には芳しくなく(特に模型愛好家たちに受けが悪かったと聞きます)、正規の続編が作られない不遇な作品ではありましたが、後のガンダムシリーズのデザインの自由度を広げた功績は再評価が待たれるところではないでしょうか。
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